大塚工務店
大塚工務店

豊富な情報と熱い想いが溢れ出てくる大塚代表。
豊富な情報と熱い想いが溢れ出てくる大塚代表。

新しい当たり前に踊らされない木の家つくり。
大正期の創業から約一世紀、四代目が工務店の地力を示す。

兵庫県明石市で家つくりを重ねてもうすぐ百年、大塚工務店さんのご紹介です。
日本の木を使った現代の民家、人が住み暮らす木の家の在り方とは。

東北の震災以降、電力会社のトレンドは「省エネ(設備)」一本になっています。それまで彼らが提案してきた省エネ以外のものはすべて忘れ去られてしまいました。良いと思っていたものが簡単にくつがえるのです。近年、そんな例を数多く目にしました。

暮らしの設えについての優先順位は人それぞれ、まさに住人十色です。国の求める性能は担保しながら、住む人の想いに心を寄せて、住まい手の暮らしに向き合い、暮らし方を提案するのが住宅建築の本質ではないでしょうか。であるからには、あたりまえを見つめなおして、流行りすたりで変わらない、本質的なものを提案しなければならないと考えています。

たとえばそれは、「陽と風」。

大塚工務店では、パッシブデザインという設計手法を駆使して、日本の中の兵庫の気候や風土にあった、外部環境を跳ね返さない、軒の深い佇まいを追及しています。エネルギーを使うこと前提の、設備に頼った暮らし方ではなく、お陽さんの力、風の力といった変わることない自然の力と共存する木の家つくりです。

電子機器は極力使いたくないんです。

センサー類は特に、生活の中で使いこなせない住まい手も少なくありません。何かあったときにプロに頼らないといけない設備ではなく、住む人が直すことのできる設えを大切にしています。電動より手動、センサーより人力、数値より感覚…時代と逆行しているでしょうか。でも全てが機械仕掛けの家に困惑し、違和感を覚える人も少なくありません。わたしもそのひとりです。

自然との付き合い方においても、スイッチに頼り、機械で制御して、押さえつけるものではなくて、寄り添うものだと思うのです。例えば、開けておくのが似合う引戸は、あちらとこちらを優しく間仕切る立派な装置です。人の手で動かす建具は熱い寒いを容易に調整できる住むための道具なのです。

素材に関しても、「(工業)製品」として完成し、机上でカタログから選ぶものはあまり頼りになりません。実物を手にして、時に産地におもむき知識の深い専門家と話しながら検討していく。素材に対する愛情と理解が浅い人のいいなりでチョイスするのはもったいない。愛着をもてる素材を住む人と並走して見つけること。どこかで聞きかじりしてきた偏見にくすぐりを入れて、ほぐして、ご自身で判断できるきっかけをつくることを肝に銘じています。住む人の声に耳を傾けたら、すぐにひろげて提案できる「素材とそれを活かした設えの風呂敷と引出」は、全国津々浦々、素材の産地を奔走して、日々満タンにしています。

地産地消の観点でいえば「近くの山の木で家を建てる」を実践することで、エコロジー(環境負荷の低減)とエコノミー(経済性)のふたつのエコの享受を提唱しています。得というより、為になるストーリーを描きます。世の為、人の為にボランティアでいいことをするのは少し大変ですが、家を建てるときに、日本の木で建てることで、森林面積の増え続ける人工林の多い我が国において、木を使うことは、大変にエコロジーです。地域固有の燃料を使う暖房設備として、薪ストーヴや、ペレットストーヴも似合いますね。

広義での国産木材の普及に尽力する傍ら、少し狭義でそれを捉えなおして、わたしたちの住み暮らす地元兵庫県と金融機関が協力して資金を融資する『兵庫県の木造住宅ローン』という制度もご紹介しています。隣県に名産地が多く、普及促進が思うように進まない県産木材をたくさん使うことで、超低金利の長期固定金利融資制度を利用できる、兵庫県民の実は! の特権です。
さらに県産粘土瓦を使い、環境配慮型住宅にすることで、融資の上限を上乗せし、より有利な条件で家つくりに取り組むこともできます。

木材、特に骨組となる構造材を供給してくれる材木やさんは、県内の山と、その裾野を訪ね、目利きとして山と建築の双方を真面目に支えてくれる製材所を限定しました。森の管理状況や、木材の乾燥方法などを分析、強度や含水率、そして、表して魅せて使うにふさわしい表情や在庫サイズなどを吟味。森に還す住まいを考える材木やさん「しそう森の木」を県産木材の供給パートナーとして選びました。食べものではあたりまえになった、どこの誰が作ったか履歴をたどれるトレーサビリティーも大切にしています。

皆さんに地元の森の状況を知り、理解を深めてもらうために、県の林務課の協力の元、ひょうご木のすまい協議会の仲間たちと、宍粟の山に入り、きこりに会いに行くピクニック(林産地見学会)を毎年、春と秋に行っています。

これらの集大成として、地元産の良質な素材を中心に、全国各地の仲間から供給される国産の様々な良材を吟味して適材適所に活用した、兵庫の杉普請として木の家を建てています。自信を持って提供できる木材であるからこそ、無垢の木を利用した在来工法でありながら、全棟構造計算を行い、耐震等級を示しています。

林野庁 見てみたかった木の家12選。東加古川の家が選抜!。
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兵庫県主催「木の住まいコンクール」県知事賞(最優秀賞)受賞!
兵庫県主催「木の住まいコンクール」県知事賞(最優秀賞)受賞!

里山住宅博への思いをお聞かせください。

熱い木の家つくり仲間が集い、各人が、これまでと今を、未来に向けて発信する、そんな最高の機会が里山にある。OBのお客様の後押しもあり、参加を決めました。

私たちは、じっくり時間をかけて、住む人と愉しみながら、木の家つくりを重ねています。設計も専ら自社で行います。一方で、家つくりに専念する余り、住のつくり手としての想いや、住まい手の率直な感想などを発信する広報の機会をなかなか得ることができませんでした。

明石海峡を臨む私たちの地元からはすこし遠いですが「工務店がちゃんとした木の家群を建て、百年集落をつくる」そんな新しい郊外の在り方を示す運動に参加したいと思いました。腕によりをかけて、工務店のあり方と地力を示します! そんな心意気です。

今回の建物は、注文住宅ではありません。しかしながら、鮮明にこの大きな屋根の下の暮らしをイメージして、線を引きました。いつもと違う点があるとすれば、里山が背後に控えるこの絶景です。普段通りの設計に里山の存在から得られる発想を加えました。普段は住まい手さんがすこし控えめになるようなところも、臆せずご提案しています。

と言っても、予算をかけるという意味ではありません。ここに住みたいな、ここに暮らしたらこんなことができるなあ、純粋にこの家が欲しい! そう言ってもらえる方に引き渡すことができたらいいなあと。一言で言えば、ちゃんとした木の家をつくります。実践するには、すべからず、素材と向き合い、職人と対話することが大切です。

それには、まず私たちは瓦のことを伝えたいと思いました。
大塚工務店のある明石は、かつて瓦の名産地でした。それもほんのすこし前まで。明石瓦は、酸化鉄を多く含んでいて、焼くだけで赤くなるんです。そして、長持ちします。また、魅力的な色ムラを持ちます。しかし、神戸の地震の後、重い瓦は風評被害を受け、わるもんにされ、明石では既に窯業がついえてしまいました。

そこで此度は、対岸の元気な瓦産業が残る島、淡路の窯元にお願いをして、往時を彷彿とさせる赤い窯変瓦を焼いてもらいました。淡路特有の艶消しの平板瓦の復刻です。

淡路の窯元で焼いた、赤い窯変瓦。
淡路の窯元で焼いた、赤い窯変瓦。

古材活用ギャラリー街角古町公開中。
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古材活用ギャラリー街角古町公開中。
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木心地体感モデル公開中。
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木心地体感モデル公開中。
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土間、薪ストーヴ、囲炉裏、愉しい設えと、様々な居場所つくり。
五感をくすぐる、5つのステージを持つ平屋。

平屋なのですか?

赤い瓦が里山の緑に映える、登り窯のような佇まいの家。その下でおおらかで
穏やかな営みが育まれることを願った、大きな屋根を伏せた平屋+αの住まいです。

佇まいは平屋のようですが、実は2階建てです。

大屋根を伏せた下には、2階として、広くて景色のよい屋根裏部屋を充てがっています。縦に風と光が通り抜けるように、開く窓を設えた吹抜は、風洞とか光井戸と呼ばれ、設えの要となる大切な余白です。四季を通して、外の環境と室内が交わる場所となります。見上げれば、優しい杉の木の架構と共に天窓が見えます。

この下に炉を切り、囲炉裏を据えたなら、この屋根に開けた孔は、煙を逃してくれます。もちろん淀んだ空気や夏の熱気も。そして長い冬は、貴重な太陽の熱を2階の窓の分も下まで送り届けてくれます。南の吹抜はまさに、穏やかな暮らしに必要な、豊かな自然を外から中に呼び込む仕掛けです。京町家の土間には飯を炊くおくどさんがあり、その上の吹抜を火袋と呼び、毎日のくらしに、人の営みに欠かせない抜けとして重宝されました。そんな吹抜に突き通した梁には、囲炉裏と合わせて鉄鍋を吊るすこともできます。ブランコも吊るせますが(笑)。

大黒柱を中心に、田の字型に交わる(誇るべき日本の)古い民家の間取りがあります。
1階は、これを下敷きに、建具という間仕切りを取り去り、ひとつらなりの間としました。そして棚田のように、あえて段差を設けた床を重ねて、主の居場所を多様にしています。
仕切りがないのになんか落ち着く。そうあるために、随所に造り付けの設えを施すことで、各々の目線が絶えず交錯することを避けています。用途に拠って張り分けた床材は、身体がその場所に馴染むのに一役かってくれるはずです。

一段下がった水廻りから茶の間に上がって寛いだ後は、食堂、台所、居間、そして土間になった書斎へと螺旋状にくだり、背後に里山が控える庭に至ります。庭先の水盤には里山から鳥やトンボが跳んできます。さわらの板を張ったお風呂から木のいい香りがします。

話を屋根の下に戻すと、日本人の優れた触覚を足の裏から感じる仕掛けを施ました。堅くなくて冷たくない大谷石、天然イグサ表の畳、浮造りの分厚い杉板、里山自生のコナラの板はあえて堅く、麻とウールの編込み絨毯は柔らかく、薪ストーヴを称える土間には赤い敷瓦を縁側まで張り伸ばします。

2階も狭くはありません。最大3部屋取れるフリースペースとしています。遮るものなく里山が望めて、屋根を写し取ったような勾配天井が少年少女心をくすぐる屋根裏部屋のような階上です。書斎やセカンドリビングとしてはもちろん、子供室や勉強部屋、個室としても利用可能です。住まい手が暮らしの変化に合わせて、間仕切りを施し、気配の感じ方も自由に調整できます。

暮らしから火を排した現代、子供たちはそのよしあしを知り得ません。光熱費を抑えるために、価格帯を抑えた夜間電力を享受できるオール電化でありながら、それらを愉しめる原風景を設えました。造り付けの食卓に埋め込んだ遠赤外線効果で調理するスーパーラジエントヒーターは土鍋でご飯も炊けます。室内に開いた暖炉と違い、密閉された燃焼器具である薪ストーヴは焚き付けも維持管理も難しくありません。

一緒に家を作る職人さんについておしえてください。

私は四代目なのですが、大切に住み繋いで頂いた祖父の代の住まいは、今の価値観とは少し違った魅力があります。全部が職人の手仕事で、既製品と呼ばれるような部品は少なく、そのほとんどが大工による丹精込めた設えでした。その製作は工場ではなく、現場と作業場で成されました。

古民家再生の定石がよい例です。近現代の増築部分を減築し、ハリボテの内装リフォームを剥がし、元に戻す。それだけで、風が通り、日が差し込み、素材の力が息を吹き返したように住まい手を包み込んでくれる。ええもんに添加物を極力加えず仕立てた大工の仕事は、今に生きています。現代の暮らしに足りないのは断熱と気密、付け足すのは難しくありません。家を新しく建てる時も、同じだと思います。

大塚工務店の棟梁は、中学を出て大工になった、いわゆるたたき上げの最後の年代です。墨付け、手刻み、段取り、どれを取っても一流です。基本や当たり前が分かっているから、型を崩すこともできるんですよね。経験の浅い職方は、悪く言えば、設計者の言いなりです。これは、設計施工が同一である工務店の危うさにつながります。職人が工事しやすい方に流れる可能性がありますからね。風通しのいい大工のチームワークがあれば、設計者と相まって事の良し悪しをしっかり精査することができます。大工までも外注にして手放すメーカーが多い中で、大工をしっかりと手元に抱えて、現場の要に据えることが、建築屋の使命だと考えます。

建築という行為は多くの職方の手の集大成です。建具職も左官職も、パートナーである各職方もお陰様で、跡継ぎが居てくれています。先代、先輩から伝統と型を引継ぎ、失いかけた技術も取り戻さないといけません。たとえば、流し台は大工がつくるものでした。かっての炊事場(おくどさん)は左官職の腕の見せ所でした。職人に活躍の場を提供し、住まい手がそれを愛でる。そんな関係性、物語を演出していきたいと考えています。

現代求められる性能は、国の定める指標を読み解き、自社の木の家らしく編集し、当たり前に担保する。暮らしの設えという(なにも江戸時代に戻るのではなくて)古来の知恵を忘れず、往時の担い手がいる間に、少し前のあたりまえを真摯に受け止め、傾聴し、目を養い、手を動かすことで、現代民家の在り方そのものを提案しています。

兵庫県主催「木の住まいコンクール」木心地体感ルーム公開中。
木心地体感ルーム公開中。

ご来場者にメッセージをお願いします。

求めれば、内に居ながらにして外を感じることのできる設えが、わたしたちのつくる木の家には備わっています。

軒のないガラス張りは、自然の力をはね返してしまいます。はね返された自然は、お隣やお向かいでいたずらをしかねません。太陽や風を、時に受け入れ、時に受け流し、寄り添う暮らし。めざすべきは、そういうことではないかと。

【木の家の住まい手は、住み暮らしながら、四季を愉しむために施された設えを、自らに馴染ませていく。現しの無垢の木の架構、板やら土やら紙やら、素材がそれに応える。洗濯するごとに体に馴染む衣服のように、家が体に馴染んでくる。家が好きになる。子供たちも、お父さんお母さんと一緒に、家が好きになる。季節を肌で感じながら、心地よい方向へ、ありのままに使いこなしていく】

私たちがイメージする住まい手像です。神戸の丘の上でお待ちしております。里山でお逢いしましょう!


代表取締役 大塚 伸二郎 さん
にお話を伺いました。

今回の出展社の中でも、誰にも負けない熱い気持ちを感じる取材となりました。

一つの問いにたくさんの補足説明を付けて丁寧に答えてくださった大塚社長。古くて新しい民家として、パッシブデザインと素材にこだわった里山に於ける提案住宅は、世代を越えて安らぎを与えてくれる、そんな気がします。
  • 会社名

    株式会社大塚工務店

  • 所在地

    〒673-0885
    兵庫県明石市桜町2−22
    map-otsuka

  • 電話

    078-911-8537(代)

  • FAX

    078-911-8588

  • E-mail

    happy.homes.since1925@s5.dion.ne.jp

  • ウェブサイト

    http://www.d2.dion.ne.jp/~oootsu/

  • 代表取締役

    大塚 伸二郎

  • 沿革
    1925年 大塚為三郎により創業
    1989年 株式会社に改組 一級建築士事務所登録とあわせて設計施工一貫体制での家つくりを重ねる
    2009年 大塚伸二郎 代表取締役就任 四代目を務める 新築に長期優良住宅を標準化 パッシブデザインと安心の構造計算を織り交ぜ、国産無垢の木の家つくりを推進 全国各地の林産地、製材所をめぐる
    2010年 明石駅前の旧自邸を改修「古材活用ギャラリー街角古町」オープン 町の縁側として地域に開放し、子育てママたちの活動や、学生の学びを応援 薪ストーブや囲炉裏を囲みながら、古材や町家の在り方を示す 
    2012年 ひょうご木の住まい協議会参画
    2014年 林野庁著作 木造建築への招待状「見てみたかった木の家12選」に東加古川の平屋が選抜
    2015年 兵庫県主催 ひょうご木の匠「木の住まいコンクール」にて細目格子の家が
    県知事賞(最優秀賞)受賞

    木の家つくりを重ねて、もうすぐ百年。懐かしいのが新しい民家の魅力を再発見し、今に活かす古くて新しい木の建築を提唱。国産無垢材にこだわり、兵庫県産木材の普及にも尽力。

樹ときこりの声を聴くことから家つくりは始まる。
樹ときこりの声を聴くことから家つくりは始まる。
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