緑の【まち】をつくる

『上津台百年集落街区』へ

緑のまち概念図

区画配置の概念図/初期の段階で提案された概念図です。
工務店にとっては、見たことのない図です。
外構計画は、個々バラバラにやるものだったからです。

里山住宅博会場は、終了後 『上津台百年集落街区』 へと名前を変えます。
“住宅総合展示場” は常設展示場ですが、こちらは住宅博期間だけ各工務店のモデルハウスとして用いられ、終了後は補修し、きれいに掃除して購入者に引き渡され、人が入居し、住宅団地として生き続けます。

今回の住宅博は、いわゆる 「住宅総合展示場」 とは異なります。したがって、出展工務店は事後のことをよく考えて計画し、建築することが求められます。
「住宅総合展示場」は、ハウスメーカーなどの競争展示の場です。目立つ展示物が求められ、外観を競い合い、流行を競います。
これに対して『上津台百年集落街区』は、長い必要と、長い好みと、長い寿命を前提にして計画されなければなりません。

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断面計画図/緑の外構計画が、家と家の緩衝(かんしょう)地帯になり、いい距離感を付かず離れず生んでいます。

緑のまち概念図

ロンドン郊外にあるレッチワースでは、家と家の間の中心線に生垣を植えます。
真ん中に2本の樹を植えて、相互に一本づつ所有すれば、
誰も「落葉公害」など問題にしなくなります。

私たち実行委員会は、百年生き続ける品質を持った〈まち〉と〈住まい〉へ、という願いを込めて、当街区を『上津台百年集落街区』と名づけました。
百年生き続ける集落街区を生む前提となるのは、〈緑化〉をはじめとする、〈まち〉づくり計画のクオリティの高さです。 私たちは各戸バラバラに計画するのではなく、統一感を持った街区を生むため、造園家の田瀬理夫氏に計画を依頼しました。

【造園家・プランタゴ代表】
田瀬 理夫(たせ みちお)
1949年 東京に生まれる。1973年 千葉大学園芸学部造園学科(都市計画・造園史専攻)卒業。1973年 富士植木勤務。1977年 ワークショップ・プランタゴ開設。1978年 SUM建築研究所の一連の集合住宅プロジェクトに参加。1990年 プランタゴ代表。2008年 農業生産法人ノース代表兼務、東京藝術大学非常勤講師。
主な仕事 / コートハウス国立、アクロス福岡、アクアマリンふくしま、BIOSの丘、地球のたまご、日産先進技術開発センター、5x緑、味の素スタジアム西競技場、現代町家など住宅外構、クイーンズ・メドウ・カントリーハウス馬付住宅PJほか。

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外構予算の考え方を改めた!

一戸だけに限れば、高級住宅街でたまにこんな計画もありますが、〈まち〉という単位でつくられているわけではありません。 外構工事の大半は、コンクリート・ブロックを3~4段積んで、スチール・フェンスで囲むというやり方です。 狭い土地を、余計狭くしているのでは、と田瀬さんは言います。 外構建材店が提供する資材を用いて、疑いもなくやってきたことです。 「知り合いの外構屋の仕事がなくなるのでは?」と心配する工務店がいて、田瀬さんは「こういうやり方がいいとなれば、その外構屋さんは考え方を切り換えるから大丈夫」と言いました。
先立つのは予算です。 田瀬さんは予算の考え方を変えればやれる、と言います。 通常、建築費に占める外構費の割合は7%程度です。これを10~13%に増やすと、まるで異なります。 当然、予算には制約があります。
小さく植えて大きく育てることです。 木は育ってくれます。
ロンドン郊外にある田園都市レッチワースは、造られてから百年経ちました。 緑の団地として知られます。

果樹五木を植えました。

クリ3年、ウメ・ビワ・アマナツ4〜5年、カキ8年。手塩にかけて育てると、収穫の喜びも大きいものです。
共有持分である里山での収穫は、街区の皆さんで分け合う財産となります。

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里山トラストに取り組む

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トラストって何?

トラストは、英語で信頼・信託を意味します。英国のナショナル・トラストは、無理な開発による環境破壊から守るための信頼・信託の民間組織です。612,000エーカー(750万坪)の土地、200以上の歴史的建造物や庭園を所有し、会員数は340万人、イギリス国民の20人に1人が会員になっています。
日本では狭山丘陵地『トトロの森』の取り組みがあります。スタジオジブリの宮崎駿さん達の熱心な取り組みにより、寄付金は5億円に達し、トラスト取得地は32ヶ所になりました。
上津台百年集落街区では1区画あたり113.57坪の里山が、共有入会地として登記されます。私たちはこれを「里山トラスト」と呼んでいます。トラスト対象地を持分共有します。周辺も含めた用地全体の固定資産税は、平成26年度半期納金額は69,415円でした。1戸あたりにすると年額2,000円程度です。これを負担し合い、里山の保持・再生をはかります。
トラスト地に、イーズメントと置式階段を造りました。イーズメントは、「里山散歩道」をいいます。コンクリートで固めた階段でなく籠状のものです。階段下には昔からの集落があります。そこに行くにはぐるーっと道を回らなければ入れませんでした。
近くの団地住人にもトラスト地の通行権を認めることにしました。

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