7月28日木曜日、快晴。
「里山住宅博in神戸」の定休日であるこの日、出展工務店合同の「里山の草刈り」が行われました。
「上津台百年集落街区」としてスタートをきる来年以降、ここは住まい手の皆さまの共有の里山となり、住人みんなでワイワイ・ガヤガヤ汗かいて、楽しみながら里山管理をしていくこととなります。
この街区を販売する我々工務店メンバーが、記念すべきこの里山管理のスタートとなる草刈りをさせていただこうではないか。
その呼びかけのもと、午前9時、出展工務店のメンバーが里山に集いはじめました。
草刈りを指導するのは、鎌を手にした緑のディレクター、造園家の田瀬理夫さんだ。
「僕はね、コツを知っているから、鎌を使うのにまったく力を使わない。だから疲れないんだよ」
そう言って、ニコリとされる田瀬さん。
「猛暑」を超え「酷暑」ともいうべき太陽の下、60代後半の田瀬さんは、その言葉通りの疲れ知らずで、里山の手入れの先頭に立ち続けた。
全部の草を狩ろうと思っちゃいけない。
大切なのは、植えた果樹五木(ウメ・カキ・クリ・アマナツ・ビワ)がしっかりと育つこと。要するに、その周りだけしっかりと狩ればいい。
刈った草は、果樹の周りにきれいに敷き詰める。枯れ草が肥料になる。
軽い鎌さばきで、田瀬さんが見本を見せてくれる。あっという間に、果樹の周りに空間ができた。
田瀬さんの号令を合図に、工務店メンバーが里山へ散ってゆく。
「そんな格好で来たら、田舎の人やってバレますよ」
なんと、半袖姿で現れたコーキのスタッフ。
「草刈りいうたらいつもこの格好ですやん」
声をかけたのは大市住宅産業のスタッフ。
篠山の工務店スタッフにとっては、草刈りは日常茶飯事のようだ。
「あ……」
草原からニョキっと現れた顔と目が合った。
照れながら仕事を続けるグートンライフのスタッフ。
腰をかがめて作業をしていると、近づくまで人がいることに気づかない。
バシッ! バシッ!
竹の棒で草むらを叩く、d+bアーキテクチャーの代表。
里山には、人間に危害を加える生きものだっている。棒で地面を叩いて、ヘビを追い払うのだ。
里山で生きてゆく以上、人間以外の住人とも適度な距離をとりながら暮らしたい。
それが、都市部にはない里山の魅力でもある。
力強い農夫の趣。
今回外構の施工を仕切った、ダイシンビルドのスタッフ。
ここ半年、田瀬さんの背中を追い続けてきた男は、鎌さばきも鮮やかだ。
家族のようにひとところで作業をする「チームいなほ」。
いなほ工務店の代表とスタッフたち。4名で参加した。
普段の工務店の仕事ではできない体験を、多くのスタッフで共有している。
八木重吉に、『草をむしる』という詩がある。
草をむしれば
あたりが かるくなってくる
わたしが
草をむしっているだけになってくる
その心境が、わかるような気がする。
ツタに絡まれた果樹を救出したのは、ここの住人となることが決まっている6号地の設計者。
来年は工務店スタッフとではなく、地域の住民とともに汗を流すことだろう。
里山に集った工務店スタッフ、総勢32名。
良い汗を流すと、良い笑顔がでてくる。
上津台百年集落街区は全62区画。
来年からは、今日よりもたくさんの住人たちが集い、里山を楽しむことだろう。
里山の住人になったばかりの、まだ頼りない小さな木に宿ったクリの実が、ニコリとほほえんだ気がした。