長かった梅雨、よく降った雨のおかげで、芝は定着し、苗木の背はピンと張りました。雑草も伸びたのはご愛嬌。在来自生の緑を活かすため、草刈り大会も行いました。(写真は街区工事リーダー廣瀬誉くん撮影)
降りしきる雨の季節の庭つくり、造園の職方には、大変な苦労を強いました。お陰様で、緑いっぱいの街区が形になりつつあります。
もちろん、その完成形は住まい手が決まり、集落となり、新しく植えた果樹五木の恵みを被るには、桃栗三年柿八年は少なくともいるわけで。
それでも。
切妻屋根の棟瓦には野鳥が止まり、背丈の伸びた芝生のテラスには雨蛙がかくれんぼ。子供たちが「みぃつけた!」とあやしたとたん、水盤にジャンプ!スイスイ泳ぐその速さは、リオオリンピックの水泳選手みたい。その様子に目を丸くするのは、街の子供たち。
暑さを逃れて、軒下の縁台に腰をおろせば、塩辛とんぼが四つの羽根を巧みに操って、一旦停止で「こんにちは」一筋の青は、空に抜けていきました。
何故でしょう。街なかのように蝉の合唱は耳に残りません。里山の蝉たちは幾分穏やかなのか、はたまた多様な生態系が過剰な発生を避けているのか。そんなどこか懐かしい蝉の声も含めて、ここには耳障りな音は何もありません。
昼下がり、西陽がさす頃、私達が里山と呼ぶ向こうの谷から、涼風が吹き上げてきます。北と南、家に居て対の窓をあければ、涼むのに機械はいりません。ここ里山の夏ばかりは、太陽も北風の涼には敵わないのです。深い屋根がつくる軒に佇む、日本の夏。
夕刻、あたりに帳が下りる頃、少し遠くにひぐらしの声が心地よく響いて。
夜、蛙の唄に交じって、キリギリスが音を重ねます。
あれ松虫が鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん…
童謡むしの声に謳われるような秋の夜長が今からたのしみ、たのしみ…
写真は草刈大会のリーダー、造園家の田瀬さん。ロマンスグレーの長髪をなびかせ、帽子と首の手ぬぐいがトレードマーク。
そうそう、大塚も手ぬぐいを愛していまして、15号地では、注染で有名な「にじゆら」さんとコラボした、暖簾をかけます。乞うご期待!