軒の下に光るタマネギ、言いかえると、縁の上に光るタマネギは真鍮製で、少し赤くて、時折鈍く光ります。
ピンクゴールドというこの色は、赤い瓦屋根に良く似合うでしょう。
軒下に干す玉葱と同じように、淡路の瓦を葺いた屋根の下に、オニオンという名前の風鈴を吊るしています。
はい、笑うところですよ
玉葱は淡路島の名産ですが、オニオンは富山県高岡でつくられた逸品。
往時の加賀藩により奨励された鋳物をつくる技。それはのちに高岡銅器として名を馳せた鋳造技術は今に伝わり、洗練された意匠と共に愛されています。
素材となる真鍮(しんちゅう)は、銅と亜鉛の合金で、経年変化により酸化して少しずつ枯れた色合いになり、独特の深い味わいが出る素材。
昔から建築金物や家具金物など、様々な分野で使用されてきました。
また、素材の持つ風合いが柔らかく、光沢も優雅で、美術工芸品や仏具等の素材としても長い歴史があります。
アルミやステンレスの代わりに、敢えて年をとる金属として、真鍮の金物を良く用います。外に板を張る時の釘、手が触れる引手、照明…木の家の設えとして、真鍮の素朴な美しさは、艶消しの室内に良く映えます。
風鈴は、雨の当たらない外にあります。屋根のかかった縁側の上に。
他の外壁より、少しへっこんだ所にある屋根のある外。近頃はインナーテラスとかインナーデッキとか呼ばれる、中でもない、外でもないここを、住む人にとって大切な場所として、積極的に提案しています。
四季を愛でる日本人の暮らしぶりにとても馴染むこの場所は、その家の風や光の入口でもあります。谷あいの里山に面した北に開いた窓、その側に沿えられた縁側からは、今日も涼風が吹き上げてきます。
作図するとき、ヌレエンとかくこの広い縁側ですが、実はちゃんと屋根があるので濡れない外だったりします。
里山と話したくなったら、南側の照り返しを避けて、ここで佇んでみよう。鳴るかならないか、風と鈴のお相撲を眺めながら、風の勝ちどきに耳を傾けるのも中々でしょう。
そう、小さなタマネギの下で。
15号地、大塚工務店です。
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