里山の杜に舞台を。見晴台?それとも里見台?手前は軒の下の中、濡れない外、外のような中、中のような外、大切な曖昧。四季を感じる居場所、インナーテラス。
煙突の下は夏の居間。下屋として張り出した書斎。方位は北東、床は淡路の敷瓦。冬は、ストーブに薪をくべたら、床も蓄熱して暖かさの中心に早変わり。おにぎりスツールとhacoスツールを置いてみました。書棚は徐々に埋まり、時々に、色々な家具工房の皆さんの手掛けたスツールに座れますよ。
その書斎から雑木林を仰ぎ見る。造り付けた腰机は耳付き栗の木の一枚板。入隅は、木裏使いの板に、木表使いの板を載せるだけのあえて素朴な納まりとしました。
書斎を含む下屋外壁は焼板張り。焼杉とも言いますが、焼くのは杉と相場が決まっていますので、ぼくらは焼板と呼びます。廃番とは無縁の地域固有の素材は、交換も容易な播磨の民家のスダンダード。お向かいは徳島、つまりは阿波杉の素焼き。張る前に焼いて、表面を炭化させることで、節だって隠れて木の全ての短所を長所に変えれる。浮世絵に残るように、かっては船の底も焦がしていたのだ。加えて用心深くちゃんと軒を出して炭の被膜を守るのです。艶消しの表情も素敵。
畳敷きの茶の間の隅に、くびれケヤキの掘座卓。芝生、水盤、軒下をとび出し里山へ延びるヌレエン。
民家の田の字を現代に活かす。中央八角の大黒を軸に螺旋を描くように、棚田のように床をたがえて里山に至る動線。
棚田のように床を重ねて。
畳敷きの茶の間、ソファと背中合わせの背もたれ、パノラマビュー。
夏も冬も気持ちいいウール(羊毛)を麻で編んだ絨毯敷きの居間には、ゆったりソファを造り付けて。
高さを違えたセパレートダイニングキッチン。火の元は遠赤外線ラジエントヒーター。土鍋も使えて、ランニングコストを抑えたオール電化を達成。椅子座のこの部屋は硬いコナラの床。手前の式台は栗の名栗仕上。
奥の畳間は、寝室としても利用できる。赤白の柾目の智頭杉の天井と、赤い淡路の土壁。せりあがる芝生のテラスの向こうには自生の雑木林が青々しい。
あるだけで楽しい。吹き抜けた箱階段はリビング階段として。
吹抜けを介して。南のちょうどいいサイズの吹き抜けは、夏の通風効果はもちろん、冬の日射を取り入れるため。
動く格子雨戸は、夏の日射を遮り、通風を確保しながら防犯効果も担う。
時間毎に折々の表情を見せる2階。
夜半の窓辺。
atelier key-men謹製の卓上照明を置いて。コンパスという名を拝した羅針盤でもある。北の里山に大きく開いた建築の在り方を知ってもらう工夫。ケヤキと銅、赤の饗宴。
夕景。
大谷石が繋ぐ小さな部屋の連なり。
木曽五木のひとつ、桧の仲間で水に強く、オーバーヘッドシャワーで濡れたらとってもいい香りのするサワラ張りの浴室。